北極海の海氷減少で雲の性質が変化
~強風による波しぶきにより氷雲の割合が増加~
極域で海氷が消失した海域では、それまで氷に遮られていた大気と海洋が接することで、熱・運動量・物質が従来よりも活発に交換されるようになります。海洋は気温や風の影響で海面が冷やされ、
海洋内部はよく攪拌されるようになります。大気は海面水温の影響を受けて鉛直構造や循環が変化
します。このように大気と海洋の相互作用が活発化すると、大気中に浮かぶ雲の状態も変化すると考
えられます。雲は大気と海洋の境界である海面の熱収支を大きく変化させ、海氷の生成過程にも影
響を与えるため、海氷の減少で雲の状態がどのように変化するのかを実測することは、気候モデルの精緻化にとって極めて重要です。
国立極地研究所の猪上淳准教授、當房豊助教、海洋研究開発機構の竹谷文一主任研究員、北見工業大学の佐藤和敏助教の研究チームは、海洋地球研究船「みらい」の北極海航海(首席研究者:猪上淳)で2018年11月に取得した観測データの解析を行い、雲の相状態(水雲か氷雲か)が海上の風や波高で著しく変化することを明らかにしました。
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