北極海の結氷予測は「雲」がカギ
地球温暖化に伴う北極海の海氷の減少は、新たな商船航路の可能性などの面でも注目されています。航路の確保においては、結氷時期などを正確に予測することが重要です。そのためには雲の状態の正確な予測が必要ですが、従来の数値モデルでは雲の状態を適切に再現できていないことが指摘されていました。
国立極地研究所の猪上淳准教授、北見工業大学の佐藤和敏助教を含む国際プロジェクトチームは、アメリカやドイツなどの研究機関が提供した9つの数値モデルの出力結果を対象に、雲と放射の再現性に関する相互比較と検証を実施しました。その結果、多くの数値モデルでは水雲(みずぐも)の割合を過大または過小に見積もってしまう両極端な傾向があり、このことが再現性低下の原因の1つであることを明らかにしました。
今後の継続的な観測データ取得に基づく数値モデルの改良など、本研究の発展は北極海における気象・海氷の正確な予測を可能にして北極海航路の実現に貢献することが期待されます。
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