タスマン海の水温上昇が南極半島の異常高温を引き起こす

 近年の気温上昇は世界規模での大きな脅威であり、その要因の解明などが各国研究者によって精力的に進められています。南極半島は世界平均に比べ気温上昇が著しい領域の1つとされ、その要因として熱帯域の水温変動による影響が議論されてきましたが、中緯度の海洋からの影響は未解明でした。
 北見工業大学(学長:鈴木聡一郎)の佐藤和敏助教、国立極地研究所(所長:中村卓司)の猪上淳准教授を中心とする国際研究チームは、中緯度のオーストラリア南東部に位置するタスマン海の水温の経年変動に着目し、南極半島の気温上昇に与える影響を調べました。その結果、中緯度海洋の水温変動に伴う大気循環の変化が南極半島の異常高温をもたらす要因の1つであることを明らかにしました  
 海水温変動は漁業への影響が大きく、その海水温変動により生じた大気循環変化が引き起こす気温変動は農業へ大きく影響します。そのため、本研究を北半球に応用・発展させることにより、北海道および周辺海域の水温・気温変動の予測が可能となり、オホーツク地域の一次産業等へ大きな貢献になると期待されます。

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